口腔外科
口腔外科(こうくうげか)とは?
口腔外科とは、お口の中だけでなく顎や顔面、その隣接組織に現れる疾患を扱う診療科です。外科的疾患と内科的疾患の両方が含まれています。
外科的疾患は顎関節症、親知らずの抜歯、交通事故やスポーツでの歯や顎の外傷(骨折、脱臼、歯の破折など)、口唇裂・口蓋裂などが含まれます。
内科的疾患は口腔ガンや悪性リンパ腫などの悪性腫瘍、顔面神経麻痺などの神経性疾患、ヘルペス性口内炎などの口粘膜疾患が含まれます。口臭症も内科的疾患で治療することができます。
顎関節症について
顎関節症は一生涯で2人に1人が経験するとも言われる非常に患者数が多い疾患です。
症状
- 顎が痛い
- 口が開かない
- 顎を動かすと音が鳴る
原因
顎関節にあるクッション(関節円板)の位置がずれることで、関節の動き(=口の開閉)がスムーズに行えないことが原因です。関節の動きがなめらかではないことで音が鳴ったり痛みを感じます。さらに関節の調子が悪くなると口を開けることが困難になります。
クッションがずれる原因を1つに特定することはできません。バケツに水が溜まるように複数の要因が積み重なり、水があふれた時(=その人の持っている耐久性を越えた時)に症状が現れます。ですので、症状が現れる直前に行った要因はバケツの水をあふれさせた最後の一滴であっただけで、主たる要因は他にあるのかもしれません。その要因を一つ一つ意識し改善していくことが顎関節症治療のポイントになります。
要因
- 歯ぎしり
- 歯の噛み締め
- 頬づえ
- 片側だけで物を噛む
- 精神的な緊張、ストレス
- 顎関節や筋肉の弱さ
治療方法
普段の生活の中で要因となる事柄がないかチェックします。無意識に行っていた癖を改めて発見する機会にもなります。歯の噛み締めは顎関節症の患者さんの8割が行う癖です。癖を直すのは簡単ではありませんが、癖を行っている時にそれに気付き、やめるだけでも効果はあります。
対処療法になりますが、蒸しタオルで痛みの出ている部分を温めたりマッサージをすると痛みが和らぎます。
親知らずの抜歯について
抜歯の判断基準
親知らずは必ずしも抜かなければならない歯ではありません。しかし、生え方や生える向きによっては抜歯の必要があります。
抜歯の必要がある場合
- 横向きに生えていて、手前の歯に接触し悪影響がある
- 完全には生えておらず、痛みを繰り返す・歯肉が腫れる・食べ物が詰まる
- 虫歯
抜歯の必要がない場合
- 生える方向は正常ではないが、矯正治療で直せる範囲である
- 正常な向きで生えている
- 完全に骨の中に埋まっていて、隣の歯にも影響を与えていない
抜歯の流れ
抜歯前日までに歯のクリーニングをします。歯肉に炎症があると、抜歯後の治癒が遅れるためです。
抜歯当日は麻酔をしてから抜歯します。およその目安ですが、横向きに生えている場合は15~60分、埋まっている場合は60~90分かかります。
抜歯後2~3日後までは激しい運動・飲酒・タバコは控えてください。また、傷口のかさぶたが剥がれるため口を強くゆすいだり歯ブラシでこすったりしないでください。
抜歯翌日は消毒のために来院していただきます。その後は順調に傷口が治癒すれば1週間~10日後に抜糸をします。